刑務所裏の五木さん【再掲】
今は金沢美術工芸大キャンパスと姿を変えたこの一角に ひっそりと佇む赤レンガ塀の名残をようやく確かめることができました。
この赤レンガ塀は明治40年に建てられ、その後昭和45年に使用止めで取り壊されるまでの63年間、この小立野の地にそびえ立っていました。
20代後半から30代にかけての新人作家時代に、五木さんはこの刑務所裏にあるアパートの一室で、金沢での最初の生活を始めました。
当時、日々の小遣いである十円硬貨数枚を握り、繁華街で古書店巡りをしたあと、石引通り、あるいは天神坂を上り、このレンガ塀の横を歩いてアパートまで戻っていた五木さん。金劇ビル地下にあった喫茶店で 珈琲をツケにするときには「刑務所裏の五木さん」で通っていたそうです。
【過去SNS再掲】 表川勝成
2021年06月06日 14:35