しゃちょの読書日記【社長ブログ更新しました】
たとえどんなに忙しい一日だったとしても、家に帰って寝る前は何かを読まないと寝つきがよくないという筋金入りの活字中毒ではあるものの、やはり細かい文字を読み続けるのが、年々きつく感じられるようになってきました。
ここ最近読んだのは以下の本。
小林弘幸「眠れなくなるほど面白い自律神経の本」（日本文芸社）
自律神経チェックシートなるものをしてみたら、意外に多くチェックがついてしまったので、何か参考にならないものかと購入。
近年の研究成果では、腸内環境が自律神経の働きと密接に関係していることが判明し、ココロと腸の関係だけではなく、さまざまな疾病との関連がなされるようになっている。“眠れなくなるほど面白い”かどうかは別として、普段からの健康管理の重要性に気づかされる一冊。
いろいろ最新の知見が分かりやすく盛り込まれているが、結局のところは、昔の人がよく言っていた「早寝早起き腹八分」、これに尽きるのではないか。
ルシオ・デ・ソウザ／岡美穂子「大航海時代の日本人奴隷」（中央公論社）
奴隷と聞けば、おそらく多くの人は、アフリカから黒人を奴隷としてヨーロッパ各地に送り込んでいた中世をイメージするが（あるいは奴隷商人など）、日本でも戦国時代の16世紀に、ユダヤ教徒のポルトガル人商人が長崎に住み、日本人を多数奴隷として連れ、アジア各地を転々としていた事実がある。
これはアジアにおける人身売買が公然と行われていたこと、多様な文化的アイデンティティを擁したイベリア半島社会の歴史が複雑かつ密接に絡み合った結果だと著者はいう。
最近になって見つかった史料の中には、3人の日本人奴隷がメキシコにわたっていた記述があったとのこと。
近代になって、表向き奴隷制度は廃止されたことになっているが、いわゆる発展途上国では「奴隷」という呼称ではないにしても、限りなくそれに近い形態の労働は残っており、蓋をして見ないようにしているだけで、すべて現代社会の問題は歴史を知らずして本質を知ることはできないのではないかと感じた。
本書は、これまでの偉大な探検者たちの「大航海時代」とは異なる、この時代に生き、大きな歴史の中に埋もれて人知れず生涯を終えた人々の「大航海」に光を当て、イベリア勢力の世界進出の“陰”の一面を描き出そうとした著作である。
飯田進「地獄の日本兵」（新潮新書）
著者は大正12年（1923）に海軍民政府職員としてニューギニア島へ上陸、終戦後BC級戦犯として重労働20年の刑を受け、その後は社会福祉法人の理事長をなさっていた方。
実は先の大戦では、敵と撃ち合って死ぬ兵士よりも、飢え死にした兵士のほうが圧倒的に多かったという事実がある。
昭和17年11月、日本軍が駐留するニューギニア島に連合国の進行が開始される。西へ退却する兵士たちを待っていたのは、魔境と呼ばれる熱帯雨林。
幾度となく発症するマラリア、友軍の死体が折り重なる山道、蜘蛛まで口にする飢餓、先住民の恨みと襲撃、そして更なる転進命令。「見捨てられた戦線」の悲惨さがこれでもかと描き出されている。
島田覚夫「私は魔境で生きた」（光人社ＮＦ文庫）でも、このニューギニア戦線での悲惨なサバイバル体験記が描かれている。終戦を知らずにニューギニア山奥での原始生活を10年も送ってきた著者の強靭な精神と肉体。その逞しさはいったいどこから来るのだろうか。
脱帽の一言。
サイエンスからは2冊。吉田伸夫「宇宙に「終わり」はあるのか」、須藤靖「不自然な宇宙」（ともに講談社ブルーバックス）
今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。この138億年は、宇宙にとっては、ほんの一瞬である。
宇宙は、現在までの138億年を序盤のごく一部として含み、今後少なくとも「10の100乗年」にわたる未来を有する。
この遠い未来の果てに、宇宙は「終わり」を迎えるのか？宇宙の誕生から終焉までを最新科学に基づいて見渡し、人類の時間感覚とは全く異なる、壮大な視点になって解説する書籍。
こういう本を読んでいたら、そりゃ眠れなくなる。
ちなみに10の100乗年とは「グーゴル（googol）」とも書き、あのgoogleはスペルの綴り間違いに由来するといわれている。
1グーゴル = 10100 = 10, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000
宇宙は今後も想像を絶する時間が続き、そんなことを想像している私の不眠も想像以上に続きそうなので、ここらあたりで本を綴じ寝ることにする。
最近観たブルーレイで印象に残っている映画は4本。
「不正」vs「陰謀」、予測不能の不穏事件が続発する、アル・パチーノ、アンソニー・ホプキンス「ブラックファイル」（2015年）、
第87回アカデミー賞脚本賞ノミネートで、ジェイク・ギレンホールのぶっ飛んだ演技が最高の「ナイトクローラー」（2014年）、
脳が100％覚醒する新薬を巡るサスペンススリラー、ブラッドリー・クーパー、ロバート・デ・ニーロ「リミットレス」（2011年）、
選手から貧乏球団のGMに転身した主人公が常識破りの手法で奇跡を起こす、アカデミー賞6部門ノミネートの、ブラッド・ピット「マネーボール」（2011年）
なかでも、ナイトクローラーはなかなかの出来栄え。
2021年11月27日 00:00
