「ゴッドファーザー」三部作【社長ブログ更新しました】
今年のお盆休みは2日間あったため、F.コッポラ監督の「ゴッドファーザー」三部作を一気に鑑賞。Part.1は177分、Part.2は200分、Part.3は161分。
この作品を初めて観たのは、いまから17年も前になるが、今回のほうが面白く観ることができた。
歳を重ねてより理解できる種類の映画かもしれない。
そしてあまりにも面白く重厚で奥深く、3部作を夜通し2周してしまった自分もある意味すごいと思う。
いや、単に一度では私が理解できなかったから・・かも・・しれない。うぅ・・。
「Part.1」は、「ゴッドファーザー」ことマフィアのボス、ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)を中心としたコルレオーネ家の悲劇の暗転を描き、物語終盤では三男のマイケル(アル・パチーノ)がマフィアのボスの座を継承してからを描いている。
「Part.2」は、大きく二つに物語が分かれており、1つは前作からの続きで、三男のマイケルを中心としたパートと、もう1つは若き日のドン・ヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)が権力を手にして成りあがっていくまでを様子が描かれており、映画ではそれぞれ並行して進んでいく。
Part.2の見どころは何といってもデ・ニーロの圧巻の演技力に尽きるでしょう。
マーロン・ブランドのしゃべり方や表情・クセは完璧にコピーしているし、しゃがれ声までそっくりで。
イタリア移民の少年がだんだんとNYのボスに成り上がっていくときの雰囲気も、これ以上ないほど。
そしてファミリーを守るために手段を選ばずに敵を排除していく二代目ボスのマイケルが次第に人間性を失っていく様子も注目すべき点。
本来ヴィトーは長男ソニーを後継に考えていたようなフシがあり、本人も十分そのつもりでいたのだが、敵対するマフィアに蜂の巣にされてしまい、
次男はボスには到底向いていない優柔不断かつ優しすぎる性格のため、三男が継承することに。
もともとマフィアには一切関わらないと決め、大学に進学し、海兵隊に入隊に従軍してしていた三男マイケルが、
運命に導かれるようにドンになり、図らずも周囲の人間を巻き込んでいってしまうあたり、
ある意味、最後まで運命の糸に翻弄され続けた人生だったのかもしれない。
ゴッドファーザーのロゴは操り人形になっているが、これってもしかしてマイケルの人生も暗示しているのでは、と思えなくもない。
ともかく、すべての演者の目の動き、そして作品全体を通しての明と暗のコントラストだけでも楽しめる、「これぞ映画の教科書!」といえるお勧めの作品。
一つの作品が3時間を超える大作だが、すべてのシーンが意味を持ち、緊張感が続きまったくダレることがない。
最も印象的なシーンは観る人によって異なるんだろうなあ、と思えるほど、見所が満載。
複雑で長い物語で、しかも人物の説明も非常に少ないため理解しにくかったので、
結局、原作(マリオ・プーヅォ著、上・下巻)も読んでしまった。こっちのほうも面白い。
文句なしの星5つ★★★★★ 次は15年後に。
そのほか、普段、積読(つんどく)だった本を時間の限り片っ端から読む。
大西康之「起業の天才」(東洋経済新報社)。
歴史から葬られた人物、リクルート創業者・江副浩正の壮大でドラマチックな物語。一代にして8兆円企業を作り上げた男とはいったい世の中をどう捉え、何を考え、どういう選択をし、いかに人生を燃焼したのか。見習うべきところも反面教師にすべきところも多い。
眩しい光ほど、くっきりと影が浮かぶ、そう感じた一冊だった。
服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版」(中公新書)。
書店に平積みしてあったのでなんとなく興味が沸き購入。
46歳にしてアフリカの小国・ルワンダの中央銀行総裁に突然任命された日銀マンが悪戦苦闘しながら超赤字国家の経済を再建しつつ国民生活の向上を果たした、という実話。
昭和40年代の話なので内容は少々古いものの、著者のエネルギーに脱帽。今の私(表川)よりも若い人(当時)が、ここまで自分の使命に命を懸けて取り組んだ、という意味では読んでいて圧倒される思いだった。
内容は決して堅苦しいものではないが、ある程度マクロ経済学の知識がないと最後まで読み進めていくのはちょっと難しいかもしれない。そういう意味では読者を選ぶ本。
小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」(講談社現代新書)。
タイトルの通り、なぜすべての生物は死ぬのか、遺伝子に組み込まれた死のプログラムとは何か、もし生物が死なない存在なら、世の中はどうなっていくのか、生物学の立場から明らかにした本。科学が好きな人にはお勧めの1冊。初心者にもわかりやすい。
那嵯涼介「最強の系譜」(新紀元社)はプロレス誌「Gスピリッツ」に連載された、テーズ、ゴッチ、ホッジ、ロビンソン、そしてボックなど、プロレス史を彩る強豪たちの軌跡。
いわゆる「ガチ」で強いレスラーについて考察した書籍。貴重な資料や写真は凄まじいの一言。
私は、こういう話はかれこれ40年前から現在に至るまで大好きである。
欧州を中心とした強豪レスラーたちのエピソードがメインだが、私の好きな爆弾小僧ダイナマイト・キッド(ビリー・ライレージム、いわゆる”蛇の穴”出身)についても詳しく書かれていたのが興味深かった。分厚い書籍だが一気に読み切った。
ちなみに私が古今東西で最強と思うレスラーを1人挙げるとすれば、936連勝の鉄人テーズでもなく、神様ゴッチでもなく、G馬場の師匠・鋼鉄男アトキンスでもなく、ダニー・ホッジである。
80歳を過ぎても片手でリンゴを軽く握りつぶしていた、という事実一つとっても、ホッジは只者ではない。
立花隆「最後に語り伝えたいこと」(中央公論新社)。
今年4月に亡くなった立花隆さんの遺作。大江健三郎との対話と、長崎大学での講演を書き起こしたもの。
長い長い人生で学ぶべきこととして、①有効性を求めてはいけない、②運動なんて99.9%は負け戦、③あきらめずに負け続ける、④継続こそ力。と述べている。
私が、立花さんの述べられていることで印象に残っている言葉は、「人生なんて言うのは、結局のところ苦戦の連続なんです。苦戦をいかに切り抜けていくか、そのために大切なのは内的エネルギーですね。それを持続させるような精神を作っていくことが君たちの年齢では一番大切だと思います」という言葉。彼が書いた数多くの言葉で、私はどれだけ勇気づけられてきたことか。
巻末の保坂正康氏の解説にもあるが、「もし『歴史の神』がいるとするならば、この人はその神に選ばれた人」と述べているのは、まさしくその通りだと思った。
常に時代のトップランナーであり続けた立花隆さん。わが国は惜しい人を失ったと、あらためてそう思う。
丸島和洋「戦国大名たちの外交」(講談社メチエ)。
戦国大名たちは合戦だけをしていたわけではなく、和睦や軍事同盟、領土交渉という「外交」を、活発に行って戦国時代を生き抜かんとしていた。武田信玄、今川義元・北条氏康による名高い「甲駿相三国同盟」の成立の舞台裏をはじめ、文書と交渉者「取次」が飛び交う、外交の現場を生々しく描き出す、という本であるが、残念ながらここで時間切れ。
あぁ、またしばらくは「積読」が増えそうな予感。
2021年08月16日 20:46