デイサービスひより 石川県白山市 

朝と同じ体調か、それ以上の状態で 皆さまにお帰りいただくこと。
それが、ひよりスタッフの変わらないお約束です。


あなたが元気になるとき、いつもそばに。 
                   デイサービスひより

  • top3
  • top5
  • top2
  • top4

HOMEブログ ≫ しゃちょの読書日記【ブログ更新しました】 ≫

しゃちょの読書日記【ブログ更新しました】

ロジャー・ペンローズ著『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』、『心は量子で語れるか』


宇宙の果てと人間の心。
この二つは、普段は別々の世界にあるように思える。
しかしロジャー・ペンローズの著作を手に取ると、驚くほど近い場所で響き合っていることに気づかされる。
数学や物理学を基盤にしながらも、彼は大胆に、そしてどこか詩的に、宇宙と意識の謎を描き出している。
専門的でありながら、読み手の想像力を大きく揺さぶる一冊である。
 
『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』
本書の核となるのは「共形サイクル宇宙論(CCC)」という仮説である。
一般的には、宇宙は138億年前のビッグバンで始まり、膨張を続け、いつか終焉を迎えるとされている。
ペンローズはそこに別の見方を差し挟む。宇宙は一度きりではなく、終わりが次の始まりへとつながる循環の連鎖なのだという。
膨張の果てに、物質もエネルギーも拡散し、時間の意味すら消えていく。
その先に広がる極限の静けさは、奇妙なことにビッグバン直後の宇宙とよく似ている。そこから再び新たな宇宙が生まれる。
壮大な円環を描きながら、宇宙は何度も繰り返されていくという発想である。
その手がかりとしてペンローズは、宇宙背景放射に「前の宇宙の痕跡」が刻まれている可能性を示す。
過去から未来へのささやきのようにも感じられるこの考えは、科学的でありながらどこか物語性を帯びている。
数式に囚われず、宇宙が繰り返し新たに生まれ続けるというイメージを抱くだけでも、本書は十分に楽しめる。
 
『心は量子で語れるか』
こちらは、ペンローズとホーキング、さらに哲学者や科学者が集い、
「人間の意識は量子力学で説明できるのか」という問いをめぐって交わした討論を記録した一冊である。
ペンローズは「人間の心はコンピュータの計算とは違い、量子現象に根ざしている」と語る。
意識は単純な機械演算では置き換えられない、という立場だ。それに対してホーキングは懐疑を示し、哲学者たちは理論の根拠を問い直す。
議論は平行線をたどり、結論は出ない。だが、それゆえに読者は「意識はいまだ解き明かされていない」という現実を実感する。
本書の魅力は、立場の異なる学者たちが真剣に意見をぶつけ合う姿にある。答えが出ないこと自体が、心の謎の深さを物語っている。
 
二冊を通して見えるもの

『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』が語るのは、宇宙が輪廻のように続く壮大な物語である。
『心は量子で語れるか』が描き出すのは、人間の心がいまだ計り知れないという事実である。
テーマは異なるが、両書を通して浮かび上がるのは「人間存在の根源を見つめたい」というペンローズの姿勢だ。
宇宙の始まりと終わりを考えることは、人間の生と死を考えることにつながり、心の正体を問うことは、
私たちが世界のどこに立っているのかを問うことになる。二冊を読み合わせると、宇宙と意識が一本の糸で結ばれているように感じられる。
 
二冊には専門的な数式や議論も含まれているが、それをすべて理解する必要なんて、そもそもない。
  • 『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』では、「宇宙は繰り返す」という発想だけを心に留めればよい。
  • 『心は量子で語れるか』では、結論よりも「科学者たちがどのように考え、どのように議論を交わすのか」という点に注目すると面白い。
大切なのは知識の細部よりも、「科学者がどのような視点で世界を見ているのか」を味わうこと。
 
ペンローズの二冊は、科学書であると同時に、人生を考えるための書でもある。宇宙はどこまでも続き、
心はいまだ解き明かされない。だが、だからこそ読む者は新しい問いを抱くことになる。
本を閉じたあと、「自分はどこから来て、どこへ向かうのか」という問いが胸に残るだろう。

この二冊は、知の旅に出ようとする人に寄り添う、力強い案内書である。

 
2025年09月13日 12:09
デイサービスひより

株式会社レイシア
デイサービス ひより

【住所】
石川県白山市知気寺町
は36番地1

Tel:076-255-7838

【サービスご提供時間】
9:30~14:30
【定休日】
日曜日
社長ブログはこちら

モバイルサイト

デイサービスひよりスマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら