デイサービスひより 石川県白山市 

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しゃちょの読書日記【ブログ更新しました】

今回は、書斎に積読のままだった3冊をご紹介。
雪降る夜にふさわしく、心豊かなひとときをもたらしてくれる一冊をどうぞ。

 
『暇と退屈の倫理学』 國分功一郎著
 
人生には、暇や退屈という「何もない時間」がどうしても訪れる。
しかし、それを単なる「無駄」として排除しようとする現代社会の風潮は、私たちの生き方にどんな影響を与えているのだろうか?
『暇と退屈の倫理学』は、そんな日常の疑問に正面から切り込む哲学書である。
著者である國分功一郎は、「暇」と「退屈」という一見平凡なテーマに哲学の光を当て、これらが人生や社会にとってどれほど大切な存在であるかを鮮やかに描き出している。
國分が繰り返し問いかけるのは、「暇や退屈とは本当に悪いことなのか?」ということだ。
多くの人が忙しさの中で「退屈を忘れる」ことを目指している現代、國分はそれこそが大きな問題だと警鐘を鳴らす。
暇や退屈こそが、自己を見つめ直す時間であり、創造性の源泉であるという視点は、私たちに新たな生き方を提示する。
本書は、アリストテレスやハイデガーといった哲学者から、村上春樹やドストエフスキーといった文学者まで、多様な視点を引用しながら話が進む。
しかし、そこに難解さはない。國分の語り口は軽やかでユーモアに富み、哲学書というよりも親しみやすいエッセイのようだ。読みながら、普段は見過ごしている自分自身の「暇」や「退屈」とどう向き合っているかを考えさせられる。
また、本書のユニークな点は、「暇や退屈にどう耐えるか」ではなく、「それをいかに意味づけるか」に焦点を当てている点だ。
暇や退屈は私たちを襲う敵ではなく、自分の人生と深く向き合うためのチャンスなのだ。國分は、それを「倫理」と呼び、忙しさや楽しさに逃げることを戒めている。
退屈をどうにかやり過ごそうとする日々を送る現代人にとって、この本は一種の救いとなるだろう。
暇や退屈は「無駄な時間」ではなく、「自分と世界を再発見する時間」だと知れば、日々の見方も変わるはずだ。
退屈な日常にモヤモヤを感じる人は、ぜひこの本を手に取ってほしい。「暇」の中に眠る可能性を見つけられたとき、世界の見え方ががらりと変わるだろう。

『死んだら飛ぶな』 スティーヴン・キング&ベヴ・ヴィンセント編
 
飛行機の中は本来、リラックスする場所であるべきだ。だが、『死んだら飛ぶな』を読むと、そんな安穏な気持ちは見事に裏切られる。
スティーヴン・キングとベヴ・ヴィンセントが編んだこのアンソロジーは、「飛行機」を舞台にした恐怖の物語を詰め込んだ、極上のエンターテインメントだ。
収録されている作品は、単なる飛行機事故やパニックを描いたものではない。
モンスターが機体に潜む、未来からの誘拐事件が起きる、密室殺人が展開される――飛行機という「閉じられた空間」を舞台に、あらゆる恐怖のバリエーションが広がる。
それぞれの作家が独自のアイデアを駆使し、読者を空の旅へと引き込む。
特に、スティーヴン・キングの本邦初訳作品はファン必見で、その緊張感溢れるストーリーに一気に引き込まれるだろう。
この本のもう一つの魅力は、「恐怖」だけにとどまらないことだ。
物語には人間の心理、希望、孤独、そして生き延びるための本能が巧みに織り込まれている。飛行機が持つ「逃げ場のない空間」という特性が、キャラクターたちの内面を深く掘り下げる装置として機能しており、それが読後の余韻をさらに深いものにしている。
注意したいのは、飛行機に乗る予定がある人には少々危険な一冊であるという点だ。
読後、窓の外の風景や隣の乗客に不安を覚えるかもしれない。
しかし、それこそがこの本の醍醐味だ。地上では味わえないスリルを、安全な場所から楽しむことができるのだから。
飛行機好きもホラー好きも、もちろんどちらでもない人も、このアンソロジーには惹きつけられるはずだ。
恐怖を超えて、物語の奥深さを味わう旅に出てみてほしい。読後、空を見る目が変わり、いつもの空港が少しだけ違って見えるようになるかもしれない。
それこそが、この本が読者であるあなたに贈る最高の贈り物だ。
 

 
『ブラジャーで天下をとった男 ワコール創業者 塚本幸一』 北康利著 プレジデント社
 
戦火のインパール作戦から帰還した男が、次に挑んだ戦場は、女性下着市場だった――。
その文言だけで、この本の魅力を十分に伝えることができるかもしれない。
『ブラジャーで天下をとった男』は、ワコールの創業者・塚本幸一がいかにして戦後の日本で新たな市場を切り拓き、女性たちの日常を変えていったのか、その軌跡を追う伝記である。
本書の最大の魅力は、塚本という一人の人物の生き様の大胆さ、そしてその背景にある激動の時代だ。
インパール作戦という過酷な戦場を生き延びた彼は、帰国後、まったく新しいフィールド――「女性のための下着」に勝負を挑む決意をする。
この選択がいかに大胆だったかは、当時の日本社会における女性下着の認識の低さを考えれば一目瞭然だ。
塚本は、女性の「美しさ」と「快適さ」を同時に叶える製品を追求し、国内外の市場を切り開いていく。
その過程で彼が見せた創造性、リーダーシップ、そしてビジネス哲学は、ただの成功物語ではない。
むしろ、彼の挑戦は「戦場で生き残った者が、次に何をすべきか」という究極の問いに対する答えであり、多くの現代人にとっても大いに示唆に富む。
さらに興味深いのは、塚本が「ブラジャー」という製品を単なる実用品としてではなく、女性たちの社会進出や自信の象徴として捉えていた点だ。
ワコールというブランドがただの下着メーカーではなく、女性の生き方そのものを応援する存在となった背景には、彼の先見性と情熱があったのだと感じる。
北康利の筆致は、ビジネス書でありながらドラマチックな展開を存分に引き出している。
塚本の波乱に満ちた人生を追体験する中で、読者は自然と「挑戦すること」「信念を持つこと」の大切さを考えさせられるだろう。
女性下着という、どこか華やかなイメージを持つ市場の裏側には、実は泥臭く熱い人間ドラマが広がっている。
本書はそのすべてを詰め込んだ一冊だ。
戦後日本の再生とともに成長した一つの企業の物語は、歴史、ビジネス、そして人生哲学のすべてを含んでおり、読む者を飽きさせない。
「ビジネスは戦争だ」という言葉を体現したような塚本の姿に触れたとき、きっと読者も自分の挑戦について考えずにはいられなくなるだろう。

 

 
2025年02月09日 00:00
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